山本章一性加害でマンガワン崩壊へ…漫画家ボイコットが止まらない件
小学館のマンガアプリ「マンガワン」が、かつてないレベルの危機に直面しています。
きっかけは、元連載作家・山本章一氏の性加害事件。
そして2月27日に出された公式声明によって、鎮火どころかガソリンをぶちまける結果になってしまった。
声明から数時間で、現役の漫画家たちが
- 「もうマンガワンには載せない」
- 「小学館の仕事は受けない」
- 「配信停止を決定しました」
と次々に宣言。
読者の間でも「アプリ消した」報告が溢れ、SNSのタイムラインは阿鼻叫喚の様相です。
さらにその後、別の性犯罪者が「別名義」でマンガワンで仕事をしていたことが新たに発覚。
「またか」「学んでいない」という怒りが爆発し、高橋留美子先生をはじめとする大御所作家まで作品を引き上げる事態に発展しました。
正直、ここまでの事態に発展するとは思っていませんでしたが、この記事では、なぜマンガワンがここまで追い詰められたのか、その経緯と漫画家たちのリアルな反応、そしてこの先に何が起きるのかを整理していきます。
目次
漫画家・山本章一の性加害問題とは?
まず状況を整理しておきます。
①マンガワン連載作『堕天作戦』の作者・山本章一氏が、教え子の少女に対する約3年間の凄惨な性加害で民事裁判に敗訴(2026年2月20日・札幌地裁・賠償1100万円)。
②山本氏が別名義「一路一」で原作を担当していた疑惑のある『常人仮面』が、判決5日後に何の告知もなくKindleから消滅。
③そして判決7日後の2月27日、マンガワン編集部がようやく声明を出したが、中身スカスカで大炎上中。
④さらに3月2日、今度は別の性犯罪者が別名義で連載していたことが判明し、二重の炎上状態に。
ざっくり言うとこういう流れです。順番に深掘りしていきます。
山本章一がやったことの異常さ
事件の詳細は他の記事でも取り上げられていますが、改めて触れておく必要があります。
というのも、この加害内容の異常さを知らないと、なぜここまで業界が揺れているのか理解できないからです。
山本氏は北海道の高校でデッサン講師をしながら漫画を描いていた人物。
2016年、入学したての15歳の生徒に目をつけ、家庭環境の複雑さにつけ込んで「父親代わり」を演じながら距離を縮めていった。
いわゆるグルーミングの典型パターンです。
そして信頼関係を築いた後に待っていたのが、排泄物の摂取強要、「奴隷」と体に書いての撮影、屋外での裸歩行といった、書くのも躊躇われるレベルの行為。
これを「おしおき」と呼んで正当化し、約3年にわたって繰り返していた。
被害女性は解離性同一性障害(DID)とPTSDを発症し、大学中退を余儀なくされています。
さらにこの男、2020年に児童ポルノで罰金30万円の有罪判決を食らっている。
堕天作戦が「体調不良」で休載に入ったのがまさにこの時期。
ファンが「先生お大事に」と心配していたタイミングで、実際には逮捕されていた可能性が高いわけです。
この時点でもう十分に終わっている話なんですが、ここからの小学館の対応がさらに火種を大きくしていく。
小学館は何をやらかしたのか?
事件そのものも当然許しがたいですが、SNSの怒りが「山本章一個人」から「小学館という組織」にシフトした理由は明確です。
リーク判決文によれば、2021年5月、マンガワン編集部の担当編集者が被害女性・山本氏とのLINEグループに参加し、「150万円払って黙ってもらおう。それで連載再開しよう」という趣旨の和解案を提示していた。
出版社の編集者が、性加害の被害者に口止め交渉をしかけたわけです。
これだけでも相当ヤバいんですが、話はまだ続く。
被害女性側がこの条件を蹴り、2022年に民事訴訟を起こすと、堕天作戦は「私的トラブル」という曖昧な理由で連載終了。
で、その後どうしたか。
山本氏にペンネームを変えさせて、同じ編集者のもとで新連載『常人仮面』をスタートさせた。
性加害で有罪になった人間に別名義で仕事を回し続けていたわけです。
しかもその作画担当に、事情を何も知らない女性漫画家をアサインしていた。
このあたりの構造が明るみに出た時点で、ネットの怒りが爆発したのは想像に難くありません。
治安が悪かったり不道徳なマンガって、平和な世の中だからファンタジーとして楽しめるのであって
実際に同じような被害が身近に横行したら楽しめないんですよ。
だからクリエイター自身がそれをぶち壊すようなことやらかしたら、キレるのは当たり前なんですよ。— 近藤信輔/「忍者と極道」16巻発売中!アニメも配信中!! (@kong_doing) February 27, 2026
7日間の沈黙、そして出てきた声明がコレ
判決が出たのが2月20日。
常人仮面のKindleがサイレントに消えたのが25〜26日。
担当編集者が出演予定だったBSテレ東の番組が当日ドタキャンになったのも26日。
この間、小学館からの公式コメントはゼロ。完全な沈黙です。
Xでは「#小学館説明責任」がトレンドを駆け上がり、「いつまで黙ってるんだ」の声が臨界点に達していた。
そしてようやく2月27日17時頃、マンガワン編集部が声明を出しました。
タイトルは「『常人仮面』配信停止に関するご説明とお詫び」。
内容をかいつまむと、こんな感じ。
・一路一=山本章一であることを認めた
・2020年の逮捕・罰金を把握しながら2022年に新連載を始めたことを認めた
・「本来であれば起用すべきではありませんでした」と謝罪
・被害者、読者、作画の鶴吉繪理氏、関係作家に謝罪
・再発防止に「取り組んでまいります」
・常人仮面の配信停止と単行本出荷停止
文字数にしてわずか約300文字。記者会見なし。Xへの投稿もなし。公式サイトとアプリ内にひっそり掲載しただけ。
一路一=山本章一を公式に認めたのは大きな一歩ではあるんですが、問題はその先です。
声明の何がダメだったのか
ネットの反応を見ていると、批判のポイントは明確に5つに集約されています。
①担当編集者への言及がゼロ
2021年のLINE和解仲介、2025年の山本氏とのランチ投稿、番組延期。これだけ疑惑が積み上がっている編集者について、声明では一文字も触れていない。Xでは「編集者を守るための声明」「共犯隠し」と即座に指摘されました。
②再発防止策の中身がない
「確認体制に問題があったため、再発防止に取り組んでまいります」。以上。具体的に何をどう変えるのか、一切書かれていない。「取り組んでまいります」は日本語で最も信用できないフレーズのひとつでしょう。
③作画者への補償の詳細がない
鶴吉繪理氏の名前は出したものの、具体的にどうケアするのか不明。鶴吉氏は12巻分の作画をこなし、最終巻が出てから1週間で作品を失った人です。「ご心配をおかけしました」で済む話ではない。
④被害者への対応が見えない
「心よりお詫び申し上げます」とは書いてあるが、具体的な補償や支援の言及はゼロ。口止め交渉に編集者が関与していた以上、小学館には被害者に対する直接的な責任があるはず。
⑤声明の出し方自体が不誠実
公式サイトとアプリ内にこっそり掲載。Xでの告知なし。記者会見なし。「できるだけ目立たないようにやり過ごしたい」という意図が透けて見える、というのがネットの受け止めです。
ご存知の通り、マンガワンの現編集長は新着したばかりでマジでなんも知らんと思ってます。着任したらいきなり爆弾が破裂して責任だけ取らされるような状態。
そして成田さんをマンガワンに連れてきたマンガワン初代編集長はすでに退社済みで別な編プロを立ち上げています。— ぽん。(ぽん。レノン) (@Uma_pong) February 27, 2026
実は”もう一人”いた──マツキタツヤ問題が新たに浮上
山本章一問題で大炎上している最中の3月2日、さらに衝撃的な事実が明らかになりました。
また別の性犯罪者が、別名義でマンガワンで連載していたのです。
『アクタージュ act-age』の原作者として知られるマツキタツヤ氏(2020年に強制わいせつで懲役1年6ヶ月・執行猶予3年の有罪判決)が、「八ツ波樹」という別名義で2025年8月から『星霜の心理士』の原作を担当していたことが判明。
しかも作品のテーマが「心理カウンセリング・更生」。
加害者本人の体験が動機とされており、サバイバー(性犯罪被害者)から「犯罪を美化している」「加害者だけ感動ストーリーにしている」と激しい非難が殺到しました。
小学館側の起用経緯はこうです。
・執行猶予満了(2024年1月頃)後、専門家による「更生十分」評価・反省姿勢を確認して起用を決定
・2024年8月に編集者がマツキ氏のXアカウントに面会を打診、9月に対面
・ペンネーム変更はマツキ氏本人の希望(旧名義での被害者への二次加害を懸念)
・作画担当にも事前説明・了解を得ていた(山本問題との大きな違い)
山本問題との違いとして「今回は作画担当に事前説明していた」という点は確かにあります。
ただ、問題の本質は「読者への開示がなかった」こと。
読者は誰も知らないまま、加害者が原作者の作品を読まされていたわけです。
さらに致命的だったのが発覚の経緯です。
文春が質問状を送付・公表予告したことで、小学館が慌てて自社発表する形になった。
つまり、文春がなければ隠し続けていた可能性が高い。
「バレなければOK体質」「山本問題で何も学んでいない」という批判が一気に噴き出しました。
3月2日より『星霜の心理士』は更新一時停止となっています。
漫画家たちのボイコット宣言が止まらない
で、ここからが本題。
この声明をきっかけに、現役の漫画家やクリエイターたちが「マンガワンでの掲載を取りやめる」「小学館の仕事は受けない」と次々に宣言し始めたのです。
小学館と出版契約状態にある『悪魔の論破』の契約解除の検討を開始します。
— 洋介犬(ヨウスケン) (@yohsuken) February 27, 2026
現状、さすがにマンガワン編集部の対応に疑問を感じております旨、自分の担当編集者には伝えました。
— 御家かえる🐸 (@GoHome_kun) February 27, 2026
スマンずっと静観して公式声明待ってたんですがこれはありえない。今後小学館系列のレーベルは連絡してこないでください。
— 百合太郎📛カヤコワアニメ1月 (@yuritaro_0316) February 27, 2026
これがもう、ちょっとした雪崩のような状態になっている。
漫画家のよずみ氏はXでこう書いています。
「マンガワン公式声明を見ましたが、不誠実さが極まりない。作家として、二度とマンガワンに作品を載せないことを宣言します。被害者と作画者への誠意が感じられない」。
いいね500超、リポスト200超。かなりの反響です。
瑞光@黄金饅頭氏の投稿はさらに衝撃的でした。
「ちょっとおすすめ欄に流れてきただけでもマンガワンへの配信取りやめを宣言した作家さんを3人以上見かけたし、二度と小学館系列の仕事を受けない宣言してる作家さんも見かけた。ほんとこの土日でどれだけ切られて月曜に処理しなきゃいけなくなるんだろうな」。
いいね1200超。この投稿が示唆しているのは、表に出ているボイコット宣言は氷山の一角だということ。水面下ではもっと多くの作家が動いている可能性があります。
めぐすけ氏の指摘も核心をついています。
「事の大きさに対して一連載作品の問題かのように意図的に小さく見せてるし、現連載作家さんたちや支えてる読者たちに不義理すぎるし、関わりのある人たちが今後この問題に対して黙認してる様に思われてしまう」。
いいね800超。つまり、マンガワンで連載を続けること自体が「黙認」と受け取られかねないリスクを作家たちが感じ始めているわけです。
元マンガワン作家のsoybeans0926氏は、さらに踏み込んだ投稿をしています。
「元マンガワン作家。山本章一、本名・栗田和明による悪質な犯罪と、逮捕を隠蔽し栗田に漫画家活動を継続させた編集者について整理。声明見ても何も解決してない」。
「元作家」が声を上げているというのは、内部の人間にとっても見過ごせない事態だったということでしょう。
明日更新予定のきゅーさきゅ最新話ですが、色々と思うところがあり配信を中止させていただくことになりました。
楽しみに待っててくださったみなさま、申し訳ありません。— 白石ユキ (@s_yuki329) February 27, 2026
私の著作をマンガワンから全面的に引上げたい旨を伝え、了承いただきました。タイムラグあるかもしれませんが、じきに消えます。セシルの女王やあさひなぐはビッコミや他のアプリで読めますので、今後はそちらをご利用ください。当該媒体で読んでくださっていた方おられましたら申し訳ありません。
— こざき亜衣🌹セシルの女王⑩👸 (@kozaki_ai) February 27, 2026
高橋留美子まで──大御所の離脱が始まった
マツキ問題発覚後の3月2〜3日、事態はさらに深刻な局面を迎えました。
「うる星やつら」「らんま1/2」「犬夜叉」──そう、あの高橋留美子先生の作品が、マンガワンから一斉に消えたのです。
対象は『うる星やつら』『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』『MAO』など、マンガワンで配信されていたほぼ全既刊作品。
アプリを開くと「この作品は掲載終了いたしました」と表示され、閲覧不可になっています。
高橋留美子先生が小学館のマンガワンから全作品を引き上げた、というニュースは反響が大きく、1.6万いいねで100万近いインプレッションです。引用を見るとそこから英語圏だけでなく他言語のファンにも驚きが広がっています。 https://t.co/IivMm815Dv
— 藤井セイラ (@cobta) March 1, 2026
小学館側は「著者の意向」と説明。高橋先生本人は公式コメントを出していませんが、無言で全作品を引き上げるという形での意思表示です。
海外メディア(Anime Updates、Animetrendsなど)も即座に反応。「高橋留美子の全作品がマンガワンから削除された」「小学館の対応の甘さが原因」と報道し、海外ファンからも「レジェンドが離脱したのは深刻」という声が上がっています。
高橋留美子先生は小学館の看板作家のひとり。アニメ化・実写化多数の国民的コンテンツを抱える彼女の離脱は、ただの「作家一人の撤退」ではありません。「マンガワンの顔」が消えたことを意味します。
続いて島本和彦氏(『燃えよペン』『アオイホノオ』)の既刊作品も配信終了。産経・日刊スポーツ・J-CASTなど複数メディアが「高橋留美子さんや島本和彦さんの作品も終了」と一斉に報道し、「レジェンドからも見限られた」という表現が相次いでいます。
さらに現在連載中の超人気作『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人・作画:アベツカサ)のマンガワン配信終了も確認。
「フリーレンまで消えたらマンガワン終わり」という悲鳴がXに溢れています。
3月3日朝時点で離脱・配信停止を宣言した作家は確認できているだけで20名超。
大童澄瞳氏(『映像研には手を出すな!』)、高瀬志帆氏(『二月の勝者』)、サンカクヘッド氏(『干物妹!うまるちゃん』)など、読者に馴染みの深いタイトルが次々と消えています。
【お知らせ】
『植物病理学は明日の君を願う』のマンガワンでの更新を当面の間中止することにしました。この作品を愛してくださる方々のご期待に今後も応えたい、けれどもマンガワンが何事もなかったように続いていくことに協力できない思いがあり、この判断に至りました。…
— 竹良 実🌱『植物の君』連載中 (@takeyoshiminoru) February 27, 2026
オリジナル連載作家たちの地獄
ボイコットの動きで見落とせないのが、マンガワンオリジナル作品の作家たちが置かれている状況です。
外部から掲載している作家は、自分の判断で撤退できます。
しかし、マンガワンでしか読めないオリジナル連載を抱えている作家は、契約があるため簡単には動けない。
バティ氏がまさにこの点を指摘しています。
「外部から掲載してる作家さんは撤退すれば良いだけだが、マンガワンオリジナルの作家さんどうすりゃええねん。契約あるから簡単に他いくってわけにもいかんだろうに。この先読まれる数が減るのは確定的なのに動けない」。
いいね600超。
お茶です。氏も同様の危機感を表明しています。
「読者からだけでなくて、配信停止を申し込みましたとか小学館絡みの仕事は今後一切受けないとか、漫画を生み出してくれてる方々からも拒否反応が強過ぎてヤバ。私の追ってる漫画達、マンガワンオリジナルなんだけどマンガワン自体がもうだめかな」。
いいね1000超。読者としても、好きな作品がプラットフォームごと沈んでいく恐怖を感じているわけです。
作家は「連載を続ければ黙認と見なされる」。でも「契約があるから抜けられない」。
読者は「好きな作品を応援したい」。でも「マンガワンに金を落とすことが間接的に小学館を支持することになる」。
この二重のジレンマが、関係者全員を苦しめています。
マンガワンの「ねこ、はじめました」につきまして、来週3/6更新予定でしたが、現在配信の停止を申し入れております。
楽しみにしてくださっていた皆様には大変申し訳ございません。
また、こちらはあくまでも私個人の感情に基づく個人的な判断です。
— 環方このみ (@NekoHajimeta) February 27, 2026
作画者・鶴吉繪理氏が「何も知らなかった」衝撃
この騒動で忘れてはいけないのが、常人仮面の作画を担当していた鶴吉繪理氏の存在です。
ヤングジャンプでの連載経験もある実力派の女性漫画家で、常人仮面では全12巻を描き切った。
最終巻が出たのが2月19日。その1週間後に作品がKindleから消えた。
鶴吉氏は2月26日にXで「とても、ショックだ………酷い、悲しい…」と投稿。閲覧92万超。
そしてマンガワンの声明が出た同日、鶴吉氏自身も謝罪声明を出し、「山本氏の件は事前に何も知らされていなかった」と明らかにしました。
つまり、性加害で有罪になった人間の素性を隠されたまま、一緒に仕事をさせられていたということ。
しかもその人物は女性に対する凄惨な加害を行った男で、鶴吉氏自身が女性の漫画家。
この事実に対するクリエイター界隈の怒りは凄まじいものがあります。
漫画家のまるめ氏は「原作者が性加害者であることをわかっていながら、作画に女性漫画家をアサインする担当編集の倫理観がどこまでも終わっている」と糾弾。
比呂ころく氏の「性加害事件があったことは知らないまま連載終了させられてたとしたら小学館マジキチなのでは?」という投稿はいいね840超に達しています。
「作画者は加害者の隣で仕事をさせられた二次被害者だ」。
この認識がクリエイターの間で完全に定着し、ボイコットの最大の動機のひとつになっています。
「また小学館か」が定着してしまった
小学館にとって最悪なのは、今回の件が「初めてのやらかし」ではないという点です。
2024年1月、『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子氏がドラマ化の脚本改変トラブルの渦中で亡くなった事件は、まだ記憶に新しいはず。
あの時も小学館は初動で沈黙し、調査報告書も具体性に欠けると批判された。
2008年には『金色のガッシュ!!』の雷句誠氏が原稿紛失で提訴し、小学館が社内で「漫画家に屈してはならない」というFAXを回していたことが暴露されて大炎上。
2012年には『しろくまカフェ』のヒガアロハ氏がアニメ化での原作者無視を告発し、Twitterでの発言削除を強要されたことが明らかに。
つまり、原作者やクリエイターを軽視する→問題が起きたら隠蔽する→批判が大きくなったら最小限の対応でしのぐ。
このパターンを何度も何度も繰り返してきたのが小学館という出版社です。
そして今回、山本問題で火の海になっている最中にマツキ問題も発覚。
「学んでいない」「連続隠蔽体質」という批判は、もはや反論の余地がない状態です。
マンガワンの事件。
本当に残念です。
本当に・・・気分が落ち込みますね。— 雷句誠 (@raikumakoto) February 27, 2026
Xで「また小学館か」がもはや定型句のように使われているのは、こうした積み重ねがあるから。
今回の声明で「再発防止に取り組んでまいります」と言われても、「前もそう言ってたよね?」としか受け取れないのは、読者やクリエイターの側がおかしいのではなく、小学館の信用残高がもう底をついているということなのだと思います。
アクタージュの時と何が違うのか
比較としてよく出てくるのが、2020年のアクタージュ事件です。
集英社の人気作『アクタージュ act-age』の原作者が逮捕された際、集英社は逮捕当日に声明→同週で連載打ち切り→単行本回収→電子版配信終了という対応をしました。
速さ、明確さ、徹底ぶり。どれを取っても「出版社としてやるべきことをやった」と評価されたケースです。
翻って小学館はどうか。
2020年時点で児童ポルノの有罪を把握。2021年に口止め交渉に編集者が関与。それでも別名義で仕事を回し続け、判決後7日間沈黙し、ようやく出した声明が300文字。
しかもその後、別の性犯罪者(マツキタツヤ)まで別名義で起用していたことが文春に暴かれるまで開示されなかった。
比較するまでもなく、対応のレベルが違いすぎる。
「集英社ならこうはならなかった」という声がSNSに溢れるのは、至極当然の反応でしょう。
小学館は今どう動いているのか
一連の批判を受けて、小学館はいくつかの対応を発表しています。
ただ、その内容がまた批判を浴びています。
・第三者委員会の設置(当初の「弁護士加えた調査委員会」から格上げ)→編集部の起用プロセス・人権意識を外部検証し、再発防止提言を求める
・3月3日予定だった小学館漫画賞の贈賞式を延期
・損害補償の検討を発表
・日本漫画家協会が2月28日に声明(「業界全体の課題」として出版社の関与を指摘)
第三者委員会の設置や賞式延期は「対応している姿勢」を示すものですが、ネットの反応は「今さら」「形だけ」「調査待ちを隠れ蓑にしている」と冷ややかです。
信用を失った後でどれだけ形式を整えても、「前もそう言っていた」というフィルターを通して見られてしまう。これが小学館の置かれた状況です。
この先マンガワンはどうなるのか
最後に、今後の展開について考えてみます。
現時点で見えている動きから推測すると、大きく3つのシナリオが考えられます。
短期的(今後数日):ボイコット宣言がさらに増える。「#マンガワンボイコット」のトレンド入りが続けば、地上波メディアが取り上げる可能性も。高橋留美子先生のような大御所が小学館の他媒体(ビッグコミック系)でも動く可能性が出てきており、青山剛昌氏(名探偵コナン)などの動向も注目されています。
中期的(1〜2週間):マンガワンのダウンロード数と売上に目に見えるダメージが出始める。他の出版社やプラットフォームが「マンガワンから移籍する作家の受け皿になる」と動く可能性がある。読者も作家も「他に行ける場所」が見えれば、離脱はさらに加速するでしょう。
長期的:第三者委員会の報告内容と処分の具体性がカギを握る。担当編集者の処分と明確な再発防止策が出せれば、ある程度の収束は見込める。ただし出さなければ、マンガワンというプラットフォーム自体の存続が危ぶまれる事態に発展しかねない。Change.orgで署名運動がスタートするという観測も出ています。
個人的に一番気になっているのは、マンガワンオリジナルの連載作家たちがどう動くかです。
外部作家の離脱は比較的簡単ですが、オリジナル連載を抱えている作家は契約に縛られている。
でも「このプラットフォームで連載を続ける=黙認」と見なされるプレッシャーは日に日に強まっている。
彼らが集団で声を上げるような事態になれば、マンガワンにとっては致命的です。
この怒りの根っこにあるもの
最後にひとつだけ。
この騒動の根っこにあるのは、「漫画家が商売道具として使い捨てにされることへの怒り」だと感じています。
性加害で有罪になった作家に別名義で仕事を回す。その事実を作画担当にも読者にも隠す。バレたら最小限の声明でやり過ごそうとする。同じことを別の加害者でもやっていた。文春に暴かれるまで自分からは言わなかった。
この一連の行動に共通しているのは、「作品を作る人間を、人間として扱っていない」という姿勢です。
被害女性は人生を壊された。
鶴吉繪理氏は何も知らないまま加害者と仕事をさせられ、作品を奪われた。
読者は「応援してた自分が馬鹿みたいだ」と裏切られた。
そしてマンガワンで連載中の作家たちは、自分の意思に関係なく「黙認した側」に立たされようとしている。
全員が、小学館の「隠蔽と利益優先」の犠牲者です。
漫画家たちのボイコットは、単なる怒りの爆発ではありません。
「自分たちはこういう扱いを受け入れない」という、業界の自浄作用そのものです。
高橋留美子先生のような大御所がついに動いた今、その声はかつてないほどの大きさで響いています。
小学館がこの声を真剣に受け止めて動くのか、それともまた「取り組んでまいります」で流すのか。
私たち読者も、しっかり見届ける必要があると思っています。
