家庭教師派遣サービス「メガスタ」や「一橋セイシン会」を運営する株式会社バンザンで、講師への報酬未払い問題が発生しています。

しかもそのタイミングが最悪で、受験シーズンの真っ只中

給料が振り込まれないのに「授業は続けてくれ」と言われた講師たちの怒りが、いまSNSで一気に噴き出しているのをご存じでしょうか。

当初は「システム障害」と説明されていたのに、途中から「口座凍結」に話がすり替わり、最終的には2月13日に事業停止・自己破産準備という衝撃の結末を迎えました。

正直、この一連の流れを追うだけでも相当な不信感を抱かざるを得ません。

この記事では、ネット上に溢れる批判の声を整理しながら、いったい何が起きたのか、そして講師や受講生にどんな影響が出ているのかを、できるだけわかりやすくまとめていきます。

株式会社バンザンの報酬未払いへの怒りの声

まず押さえておきたいのが、この問題に対するネット上の怒りの温度感です。

これは単なる「振込が数日遅れた」というレベルの話ではありません。

半月以上にわたって報酬が支払われず、しかも会社側の説明が二転三転した挙げ句に事業停止という、かなり深刻な状況なのです。

事の発端は2026年1月29日。

会社側から講師に対して「社内の報酬管理システムに障害が発生した」という連絡が入りました。

まあ、システム障害なら仕方ないかと、多くの講師が最初は大人しく待っていたわけです。

ところが1月30日から2月2日にかけて「復旧作業中」「金融機関が休み」といった理由でずるずると延期が繰り返され、具体的な入金日はいつまで経っても示されない。

そして2月6日、説明が突然変わります。

「取引先との貸借上のトラブルにより、銀行口座が凍結されている」と。

システム障害の話はどこへ行ったのか。

この説明の変遷こそが、講師たちの不信感を決定的にした瞬間でした。

X(旧Twitter)では被害を訴える投稿が次々と拡散されています。

講師の大泉芽衣子氏は2月11日の建国記念の日、会社が祝日休みで一切対応しなかったことに対し「この非常事態に祝日ということで呑気にお休みされている模様」と痛烈に批判。

未払い分の支払いを確約する念書の発行を求めましたが、会社側は「個別の書面発行は叶わない」と拒否しています。

ここで少し立ち止まって考えてみると、これってつまり「払うとは言うけど、書面では約束しない」ということなんです。

口では「払います」と言いながら、証拠が残る形では一切コミットしない。

これを信用しろというのは、さすがに無理があるのではないでしょうか。

さらに2月13日には、会社側が「本日中に12月分を支払う」と約束していたにもかかわらず、11時30分時点でも振込が確認されないという事態に。

電話をかけてもアナウンスが流れ留守電になる状態で、会社との連絡すら取れなくなっているという状況を経て、最終的には事業停止ということになりました。

バンザンの事業停止のお知らせ

講師たちの間では「信頼はゼロ」「もう経営破綻と見なすべき」という声が広がり、Yahoo!知恵袋でも「資金は潤沢にあるという会社の説明が信じがたい」という相談が投稿されるなど、ネット上の批判は日増しに激しさを増しています。

司法書士や業界関係者からも支援の声が上がり始めており、塾経営者の小林尚氏は「講師は報酬を支払える会社を選ぶ時代だ」と警鐘を鳴らしている状況。

この問題は単なる一企業のトラブルではなく、教育業界全体の構造的な課題を浮き彫りにしつつあるのかもしれません。

メガスタ・一橋セイシン会の報酬未払いの現状

メガスタ・一橋セイシン会のトップページ

では、この未払い問題が実際にどれほど深刻な影響を及ぼしているのか。

ここからは講師、保護者、そして受験生それぞれの立場から、現在進行形のリスクを整理していきます。

まず講師の動向から。

2月13日の事業停止発表を受けて、講師たちは一斉に授業の中止へと動き始めています。

それ以前から一部の講師はご家庭に対して授業の一時停止を通知していましたが、もはや「一時停止」ではなく「完全停止」という局面に変わったわけです。

例えば、ある講師は92万円の未払い被害を訴え、担当する全てのご家庭に授業一時停止を通知した事例も報告されています。

92万円といえば、フリーランスにとっては数ヶ月分の生活費に相当する金額。

他にも50万円、25万円といった被害額を訴える講師が続々と名乗りを上げており、被害の全体像はまだ見えていません。

ただ、ここが非常に悩ましいところで、事業停止の直前まで講師たちの多くは「すぐに辞めます」とは言えない事情を抱えていました。

なぜなら、目の前にいるのは受験を控えた生徒たちだから。

中学受験や高校受験の追い込み期に先生がいなくなるというのは、生徒にとっては致命的な打撃になりかねない。

講師たちはそのことをよくわかっているからこそ、未払い状態でも指導を続けざるを得ないという、ある種の「人質状態」に置かれていたわけです。

一方で、講師同士の横のつながりがXを通じて急速に強まっている動きもあります。

DMやグループでの情報共有が進み、法テラスや「フリーランス・トラブル110番」への相談、さらには内容証明郵便の送付や法的措置の検討へと一気にフェーズが進んでいる状況。

破産手続きが進む中で、講師たちには債権届出が求められることになりますが、業務委託契約の場合、未払い報酬は一般債権扱いとなり回収が非常に難しいのが現実です。

ただし、実態として雇用に近い働き方をしていた場合は優先債権として扱われる可能性もあるため、専門家への相談が不可欠でしょう。

 

そして保護者・受講生側のリスクも深刻さを増しています。

事業停止により全サービスが止まったことで、受験直前の生徒たちは突然指導を失うことになりました

毎月きちんと授業料を支払っていたのに、そのお金が講師に届いていなかったという事実を保護者が知ったとき、その衝撃と怒りは計り知れないものがあるでしょう。

受験の合否に直結する時期にこれほどの混乱が起きたことは、生徒の人生を左右しかねない重大な問題です。

なお、直前まで新規生徒の紹介が通常通り行われていたという情報もあり、「最後までタダ働きさせようとしたのではないか」という厳しい批判の声も上がっています。

表面上は平常運転を装いながら、裏側では破産準備を進めていたとすれば、これは計画的ではないかという疑いを持たれても仕方がないのかもしれません。

講師が辞められなかった理由

ここまで読んで「そんなひどい会社、さっさと辞めればよかったじゃないか」と思った方もいるかもしれません。

でも、事はそう単純ではなかったんです。

講師たちが辞められなかった背景には、フリーランスという働き方特有の構造的な問題がいくつも絡み合っています。

会社側が弁護士を立てて組織的に動く一方で、講師は個人で対応するしかないという圧倒的な非対称性

横のつながりが希薄であるがゆえに、一人で不安を抱え込んでしまう現状。

ここを理解しないと、この問題の本質は見えてきません。

①生徒やご家庭との信頼関係を切れなかった

これが一番大きな理由かもしれません。

家庭教師という仕事の特性上、講師と生徒・保護者の間には長い時間をかけて築かれた信頼関係があります。

週に何度も顔を合わせ、成績の悩みを共有し、受験という人生の大きなイベントを一緒に乗り越えようとしている。

その関係を「会社が給料を払わないから」という理由でバッサリ切れるかというと、多くの講師にとってそれは本当に難しい選択なのです。

しかも保護者側はきちんと授業料を支払っている。

講師が突然いなくなれば、保護者から見れば「お金を払っているのに先生が来ない」という事態になる。

その板挟みの苦しさは、想像以上のものがあるでしょう。

 

②今後の案件紹介がなくなる恐怖

フリーランスの家庭教師にとって、派遣会社からの案件紹介は生命線とも言える存在。

会社との関係が悪化すれば、今後新しい生徒を紹介してもらえなくなるかもしれない。

下手に騒げば「ブラックリスト」に載せられるのではないか。

そういった恐怖が、講師たちの口を閉ざさせていました。

これはある意味、会社側にとって非常に都合のいい構造になっている。

講師が声を上げにくい環境を、意図的かどうかはさておき、結果的に作り上げてしまっていたわけです。

もちろん、会社側にもそこまでの意図はなかったのかもしれませんが、構造として機能してしまっている以上、看過できない問題と言えるでしょう。

③会社側の「弁護士」という言葉への威圧感

会社側は「弁護士の指示で対応している」と繰り返し説明していました。

この「弁護士」という言葉が持つ威圧感は、法律に詳しくない個人にとっては相当なもの。

「弁護士が出てきたら、もう自分一人じゃどうにもならない」と感じてしまうのは無理もありません。

ただ、冷静に考えれば、弁護士を立てているのは会社側の都合であって、講師側の権利が消えるわけではないんです。

むしろ会社が弁護士を立てているということは、法的にまずい状況であることを会社自身が認識している証拠とも取れる。

実際、その弁護士は破産準備のために動いていた可能性が高く、講師への誠実な対応のためではなかったのではないかという見方もあります。

 

④情報不足により「待つしかなかった」

家庭教師派遣の講師は、基本的に個人で活動しています。

同じ会社に所属する他の講師と顔を合わせる機会はほとんどなく、横のつながりが極めて薄い。

だから「自分だけが未払いなのか」「他の講師も同じ状況なのか」すら最初はわからなかったりするのです。

情報がないから判断もできない。

結果として「もう少し待てば払われるかもしれない」と受け身のまま時間だけが過ぎていく。

今回Xで声を上げた講師たちがいなければ、この問題はもっと長く水面下に沈んでいた可能性が高いと考えられます。

そしてその間にも、会社は粛々と破産の準備を進めていたのかもしれないと思うと、やるせなさが募るばかりです。

なぜ家庭教師派遣業が破産に至ったのか

ここで気になるのが、そもそもなぜバンザンは破産に追い込まれたのかという点です。

家庭教師派遣業というビジネスモデルの特性を踏まえながら、その背景を掘り下げてみたいと思います。

実は家庭教師派遣業は、固定費が比較的低く、在庫も抱えないため、ビジネスモデルとしては本来破産しにくい構造を持っています。

保護者からの授業料が先に入り、講師への報酬は後払い。

つまりキャッシュフロー的には有利なはずなのに、なぜ資金繰りが行き詰まったのか。

報道によれば、バンザンの売上高は2025年1月期で約35億円

決して小さな規模ではありません。

しかし、広告宣伝費や営業・管理部門の人件費、システム開発費用、そして借入金の返済が積み重なり、手元資金が枯渇していった可能性が指摘されています。

2025年にはツール開発企業から利用代金の支払いを求める訴訟も起こされており、取引先との間でも支払いトラブルが発生していたことがうかがえます。

さらに、少子化と塾業界の競争激化という構造的な逆風もあったでしょう。

2025年には塾の倒産件数が過去最多の46件を記録しており、バンザンだけが特別に経営が厳しかったわけではない。

ただ、そうした環境下であっても、講師への報酬を最後まで支払い続ける会社はたくさんある。

問題は経営環境そのものよりも、その中でどう立ち回ったかという経営判断にあるのではないでしょうか。

ネット上では「計画倒産ではないか」という声も少なくありません

直前まで新規生徒の紹介を続け、2月13日の支払い約束で講師を引き留めておきながら、同日に事業停止を発表するという流れは、確かに違和感を覚える方が多いはず。

あるXユーザーは「最後までタダ働きさせようとしたとしか思えない」と憤りを露わにしています。

もちろん、これが計画的だったのか、それとも本当にギリギリまで再建を模索した末の判断だったのかは、今後の破産管財人の調査を待つ必要があるでしょう。

不正な資金流用があった場合は、管財人による否認権の行使や回収も期待できますが、一般的には経営失敗として処理されるケースがほとんどというのが現実です。

また、一部ではバンザンの講師や生徒を別の塾が引き受けるという話も出ているようですが、「その塾との関係は大丈夫なのか」と疑問視する声もあり、混乱はまだ収まりそうにありません。

バンザンの事業停止がもたらす影響

最後に、この事業停止が各方面に与える影響について整理しておきます。

この問題は講師だけの話ではなく、保護者、受験生、そして業界全体に波及する大きな衝撃です。

まず講師への影響。

92万円、50万円、25万円といった具体的な被害額が次々と報告される中、講師たちは今後、破産手続きにおける債権届出を行う必要があります。

ただし先ほども触れたように、業務委託契約の場合は一般債権扱いとなり、配当を受け取れたとしてもごくわずかという可能性が高い。

精神的にも経済的にも、講師たちの負担は計り知れないものがあるでしょう。

実はバンザンは2023年に消費者庁から表示違反で措置命令を受けた過去があります。

つまり、今回が初めてのトラブルではないんです。

「メガスタ」「一橋セイシン会」という名前で検索すると、以前から「怪しい」「やばい」といったネガティブなワードが関連表示されていたという指摘もあり、今回の破産でそのイメージは完全に固定されてしまった感があります。

保護者の立場で考えてみると、毎月きちんと授業料を支払っていたのに、そのお金が自分の子どもを教えてくれている先生に届いていなかったかもしれない。

これほど裏切られた気持ちになることはそうないでしょう。

しかも受験直前という、親にとっても子どもにとっても最も神経を使う時期に、突然全サービスが停止。

代わりの先生を探す時間すらままならない受験生もいるはずで、その影響は合否という形で残酷に現れる可能性があります。

業界全体への影響も無視できません。

塾経営者の小林尚氏が指摘するように、これからは「報酬をちゃんと払える会社かどうか」が講師にとっての選択基準になり、保護者にとっても「この塾は突然なくならないか」という視点が重要になってくる。

いわゆる「飛ばない塾」を選ぶという新しい基準が、業界のスタンダードになっていくのかもしれません。

メガスタや一橋セイシン会が強みとしてきたオンライン指導による地方格差の解消という理念は、本来であれば非常に価値のあるものだったはず。

それが経営のずさんさによって台無しになったというのは、教育に関わる問題として見ていて本当にやるせない思いがあります。

今回の問題は、一つの会社の破産にとどまらず、フリーランスとして教育に携わる人々がいかに脆弱な立場に置かれているかを、改めて社会に突きつけました。

講師たちが泣き寝入りすることなく、少しでも正当な補償を受けられることを願うばかりです。

被害に遭われた講師の方は、まず法テラスやフリーランス・トラブル110番に相談し、破産手続きにおける債権届出を早めに行うことをおすすめします。